2011年3月11日の東日本大震災と引き続く東京電力福島第一原子力発電所の原子炉事故は, 我が国の原子力利用のあり方に決定的な転換点をもたらすことになるだろう。 その直前まで,原子力産業と日本国政府は一体となって原子力発電を推進してきており, 教育の世界にもいろいろな働きかけが行われてきた。そのための教材も数多く作られてきている。
さすがに事故を受けてその動きは鳴りをひそめ,関係機関のサイトに置かれていた文書のファイルには アクセスできなくなっているものが多い。 しかし,我が国の原子力政策と教育のあり方を検討する上で これらはきわめて重要な資料である。 多くの人々が接することができることは 公益に叶うものであることは間違いないので, ここで公開することにした。もちろん国の発行する文書であるので,著作権法上 の複製や公開の制限はない。
なお,これらのファイルは教育関係の仕事に携わる数名の人から提供されたものも含まれるが, このように掲載することについての責任は,すべてこのサイトを運営している小波秀雄(元京都女子大学現代社会学部教員)にある。 これらの利用に関しては当然のことながらまったく自由であり,誰かに許諾を得る必要はない。 教育研究や討論のための資料として 活用していただければ幸いである。(2011年4月19日)
下のリストは2010年に 文部科学省と経済産業省・資源エネルギー庁が共同で作成して発行した原子力教育推進のための 副読本と関連文書である。これらは その後ずっと文科省のサイトに置かれていたものだが, 今年の3月に起きた福島第一原子力発電所の事故の後, 削除されている。
資源エネルギー庁独自でも一般向けの教材を作成して公開していた。 これらは(財)日本生産性本部のエネルギー環境部,エネルギー・コミュニケーションセンター の制作になるものであるが, 「原子力ー未来へつなぐエネルギー」というタイトルがついた文部科学省と資源エネルギー庁の主催になるポスターコンクールの ためのポスターが含まれていて,ここでも基本的には学校での利用が想定されている。
エネルギー環境教育情報センターは 1984年に政府・教育関係機関・エネルギー関係機関等の支援により設立された機関であり, 学校教育や社会教育におけるエネルギー環境教育の推進を図ることを目的に、 次世代層や教育関係者を対象にして各種教材・資料や様々な学習機会の提供を行っている。 同センター発行の教材のうち中学生向けのものはPDF化されており, 2011年4月21日時点でもサイトから入手可能であるので, 併せてこれも収録しておく。 直接的な原子力推進の立場 この教材は財団法人電力中央研究所による 平成18年度委託事業として作成され, 監修は信州大学教育学部の澁澤文隆教授である。 なお,眼を通してもらえば分かるように,この資料ではそれほど 原子力推進の色が濃くはない。