風船音響レンズのシミュレーション


  気体の中での音の速度は気体の分子量の平方根に反比例します。そのため異な る気体の境界を音波が通過するときには,その進路が屈折します。このことを利 用して,大きな風船に空気よりも重い気体を入れて膨らませれば,その風船はち ょうどレンズのように音を集めることができるのです。逆に空気より軽い気体を 入れた風船は音の対してまるで凹レンズ(負の凸レンズというべきか)のように 音の進路を広げることになります。

 ここでは,単純な幾何光学を使って,風船に外から当たった音波がどのように 通過していくかをシミュレーションするプログラムを作成してみました。3枚の 図を下に掲げています。二酸化炭素を入れた風船による音波の屈折の 様子をみると,2個の風船を使えば遠くの人と話しができることが理解できます。

 なおこの計算は光の屈折に対してもまったく同様に使えるので,レンズの原 理の説明にも利用できるでしょう。

★ シミュレーションの結果

二酸化炭素を入れた風船に右側遠くから音波(平面波)を当てたときの収束の様子

二酸化炭素を入れた風船に右側の近いところから音波(球面波)を当てたときに生じる平面波

ヘリウムを入れた風船に右側の遠くから音波(平面波)を当てたときの音波の拡散